ランドナーは高尚な趣味と思う。 こういうのがあればいいなあ、と思うのを自転車でやってしまう、つまり、自転車を組んで遊ぶ趣味のことです。 実際に乗ってもよし、また、床の間に飾っておいても良し。 狭義では、旅行自転車を指し、部品も'70 年代から '80年代のものを使って組むことが多く、ヴィンテージバイクと呼ばれることもありますが、私はそういう風には捕らえない。 なんでも良いんです。 フランス発祥と言われてますが、昔のお金持ちは自転車はオーダーして組んだらしい。 今でも、お金持ちはスーツをオーダーしますよね、それと同じ。 それが日本に飛び火して大流行したのは、'80 年代と記憶している。 本家のフランスやイギリスはもう流行ってなくて、日本でも今はもう余り流行ってないがまだ工房は幾つか残っている。 最近では、アメリカで少し流行り始めているらしい。 私の知人にフェラーリーをセミオーダーした人が居ますが、庶民にはそんな趣味はやろうにも不可能。 ディスカバリーチャンネルに因ると、アメリカはカスタムバイク(オートバイ)を造る文化があるみたいですが、 自転車はそれよりははるかに安い。 1台、100万を超えることはそうそうない。 下は、20~30万円くらいで出来る。まあ、庶民でも頑張ればなんとかなる程度に収まる趣味です。 まあ、世の中不景気になると自転車が流行る。 日本でランドナーが流行ったのもオイルショックがあった時期。 今都会は自転車が非常に多い。 小径車と呼ばれる、小さな車輪の自転車も少し流行った。 その中でも、ピストと呼ばれる非常にシンプルな自転車があるが、それは自転車はランドナーに通じるものがあると思う。 ランドナーは美しさと同時に機能性も考える。その調和を楽しむ。 ピストはクランクとリアタイヤが直結なので、足でブレーキを掛けることが可能。 なので、ブレーキも省略することが多く、社会問題となりましたが、 美しさは兎も角、機能を考えるなら、ブレーキはあった方が良い。 それに、泥除けもね。 まあ、人によって、用途も体型も美的感覚も違う。 時代が違えば、手に入る部品も違う。 私は何でも良いと思う。自分の思いのまま自転車を作って楽しむのは何でもランドナーでよいと思う。 '70 年代から '80 年代は、自転車では特別な時代だった。 自転車は思いのほか規格化されており、自由に部品の交換ができた。 また、多くの部品メーカーが百花繚乱、多くの独自製品をだして競っていた時期がちょうどその頃にあたる。 今では、性能を追求するあまり、コンポと呼ばれる部品セットになってしまい、以前ほど自由度がない。 それに、コンポメーカーは世界中に3つか4つしかない。 日本製の安い製品の攻勢に耐えかねて、ヨーロッパの多くの部品メーカーが潰れた。 日本のメーカーも淘汰され、数社しか残ってない。 時代の変化です。なので、別にヴィンテージ部品を使わなくてもランドナーはできますが、まあ、この時代の部品を使うことは多い。 古い部品だからといって、性能がすごく悪いわけではない。 当時は、ツールドフランスで使われていたような部品もあって、 今の部品と比べると性能は確かに悪いかも知れんが、性能的には十分なわけです。 他方で、ツールドフランスにも使われるような部品がいい加減な部品であるわけはない。 それなりの思い入れがあって、マジに造られている。 このマジ度、本気度が、つい琴線に共鳴して欲しくなる。 私は思い切りのよい、フランス製の部品が好みです。 でもハブには流石にカンパ(イタリア製)を使う。 一時は手に入らなくなった部品もオークションで入手できる時代になった。 良い時代になったものだ。 さりとて、時代の変化は残酷で、どう考えても今の製品の方が優れているものがある。 1つは、ペダル。 自転車に乗る者なら誰でも知っているが、ペダルと靴は固定してあらゆる方向の筋力も回転に変えて乗るほうが、速いし、楽だし、第一、安定する。 以前はシューズにプレートをつけて、ペダルと噛みあわえ、それをトークリップとビンディングで締め付けて使った。 ところが、最近はスキーと同じ、ビンディングペダルが主流。 こちらの方が、100倍とは言わないが、圧倒的に楽チン。 機能を考えるなら、絶対にペダルは現代のビンディングペダルを使用すべきだと思うが、ランドナーには昔ながらのトークリップとビンディングの人が多い。 まあ、ヴィンテージ部品に似合う、ビンディングペダルが少ないというのは確かにあるが。 もう1つはランプ。 既に、豆級は手に入りづらくなってます。特にリアフェンダーに点くランプの少ないワット数のものは難しい。 で、これLEDランプの方が圧倒的に性能が良い。 比較になりません。でも、良いのは分かるが、これまたヴィンテージ部品に似合うおしゃれなランプは少ない。 私的には、カーボンバイクとかアルミのバイクでも構いませんが、普通は鉄のフレームで作る。 鉄といっても、いわゆるクロモリと呼ばれるような、自動車だとクランクシャフトに使われる特殊な鉄です。日本刀もそうです(モリブデンも入ってますが)。 これを超薄いパイプに加工して使うんですが、ただのパイプじゃない。 ダブルバテットと呼ばれる、場所によって厚さが異なるハイテクの素材です。 丹下のプレステージと呼ばれるパイプは焼入れして使うパイプで軽くて固い。 それに対して、カイセイのパイプは柔らかい。メーカーによって微妙に乗り心地が違います。 アルミやカーボンのバイクが出るまでは、みなこういうパイプで高級バイクは作られており、レースに出ていたわけです。 さて、自転車を組むには組んでもらうショップを決める必要があります。 趣味が講じて、自転車屋さんになってしまった人もいらっしゃるようですが。 上で、20~30万円と書きましたが、安すぎですよね。 私が学生の頃から大して値段が変わってない。 安いからというわけではなかろうが、ショップのオヤジは職人さんで自分の理想があって 素人が、いきなりこういうバイク!と注文を出しても、おいそれとは応じてもらえません。 私が学生時代、最初にオーダーしたアルプスは大衆化されてましたので、先代が流れ作業で注文を聞いてくれて、怖かったイメージは余りありませんが、3代目のオヤジさんの頃は客も減って、おまけに3代目は江戸の職人さんだったので、下手なことはいえません。叱られます。 ヒロセというお店がありますが、写真でみるかぎり、いまは良い感じのお爺さんですが、 当時、ヒロセさんのご高説を見聞きしていた私は、怖くて、お店を訪ねる勇気もなかった。 現在、三田にあるマキノは、ちょっと一見さんが入れるような雰囲気じゃない! 個性的なお店が多いですが、みなさん、商売する気あるんでしょうか? 全部が全部こういうお店じゃありません。 世田谷の長谷川輪行さんは、行ったらいきなりお茶だしていただいて、非常にフレンドリーで拍子抜けしました。 マファックのレーサーを買ったら、ただ売るだけじゃなくて、分解して全部確認してくれました。ショップの良心を感じました。良いお店です。 自分にあったお店を選ぶことから始まります。 '80 年代、有名だったのはアルプスと東京サイクリングセンターです。 オーダーできるショップは2通りあります。 1つは、フレームは外注で組むだけのショップと、フレームまで自製するショップです。 後者で一番有名なのはトーエイ社で、私が通っていたアルプスもフレームはトーエイ社製でした。 そのアルプスは数年まえに閉店しましたが、トーエイ社は今でも川口にあります。 それぞれ、個性的なお店が揃ってますが、 今、一番光っているのは今野製作所と思います。 お小遣いが貯まって、また、今度組む日がきたら(ミニベロを造る!)、ショップ巡りをしてみようと思ってます。 |